芸術史で起こったことはロック史においても繰り返されている

ダダイズムという運動が芸術史にあった。ニューヨーク・ダダの中心的人物マルセル・デュシャンは1917年に展覧会に便器を出品した。当時物議を醸した。便器が好きな人間はそうはいない。ただ我々は人間である。芸術作品としての便器の意味を考えることができる。出品されたことは芸術史で意味のあることである。余談だがデュシャンの便器は綺麗なものであったので今となってはインパクトが薄い。公衆トイレで10年間使った便器を出品しなければ。

ロックは若者の反抗の音楽として生まれた。それがハード・ロックプログレッシブ・ロックへと発展する過程で楽器の練習にかなり時間を取られる音楽に変わった。反抗的な若者は楽器の練習なんてマジメにしない。故に若者の間に、ロックを変えたい、という意識が生まれた。

そしてパンクが生まれた。パンクは初期衝動一揆である。スリーコードさえ弾ければステージに立てた。パンクの後に新しく生まれた音楽ジャンルを総称してニュー・ウェーブと呼ぶ。今となってはオールド・ニュー・ウェーブだが。そのニュー・ウェーブのサブジャンルにノイズ・ミュージックがある。五月蝿い音楽である。音楽かどうかを疑問視する人もいるだろう。ノイズ・ミュージックはロックにおけるダダである。

ニュー・ウェーブではそれまで楽器を触ったことのない人間が音楽業界に参入してきた。思想家などもいた。

ノイズ・ミュージックとダダとの違いを挙げる。まず第一にロックは商業音楽であること。第二にノイズ・ミュージックは商業音楽なので好んでそれを聴いている人間がかなりいるということ。ノイズ・ミュージックは単なる雑音ではなくて聴きやすい音楽である(本当か?)。ぜひ聴いて欲しい。

 

Luna Tamerという名前でYouTubeチャンネルを持っている。再生リストに“Noise Music(ノイズミュージック)”というもののがある。ボアダムスなどは聴きやすいと思う。